
この仕事(さつき屋)を始めるずっと前、今は天台宗のお寺の住職になっているすぐ上の兄が横浜の大学を卒業後、親の要望で会社勤めを辞め、地元で喫茶店をする事になりました。
ビートルズのレコードをすべて揃え、お客様のリクエストに応じて、その曲の入っているLPをかけると言うサービスの店でコーヒー等は少し高めの設定でしたが魅力的な店だったと思っています。
当時、私は希望する大学受験に失敗し、浪人しても勉強しない事を見越した父が2次募集の新聞を持ってきて「ここに行け!」と鶴の一声で進路が決められてしまったのです。
もともと勉強嫌いの上に全く興味のなかった大学だったので、ほとんど行く事は無く、準備期間から全面的に兄の手伝いをしました。(母は承知していたことですが、後でその事が父にばれ、何年も授業料だけ払っていたので、こっぴどく叱られました。)
店では一日中ビートルズのLPをかけるので、その頃はどの曲が何のLPに入っているかをほとんど把握し、ココアの作り方なども教わりました。
私自身はことさらビートルズが好きと言う訳でもなかったので、たまに他のLPをかける事もあり、お客様も受け入れて下さっていたようです。
でも一度だけ大失敗をして「しまった!」と感じたことがあります。
それは車の中でよく聴いていたE・プレスリーのLP(エルビス・オン・ステージ)をかけて、お客様からシラケたようなブーイングを浴びた時です。
他の多くのロック・シンガーやシャンソンのムスタキやアズナブールでさえ、黙って聞いて下さっていたのに、エルビスだけは受け入れて貰えなかったのです。
音楽は感覚の世界なので、恥ずかしい思いをしたのも、相容れないものに気付かなかった私の至らなさだと反省し、良い勉強をしたと思っています。
商売(接客業)とは決して自分が楽しむものではなく、あくまでお客様を楽しませなければならない。
ある意味、商売は自己犠牲(我慢)の上に成り立つと言ってもいいのかも知れません。
それが長く商売をやって来た私の結論です。
この時期に咲いているさつきの花

美裕(mihiro)

新峰(sinpou)

初冠雪(hatukansetu)

紫慕情(murasakibojyou)

亜輝姫の覆輪

ふじの輝(fujinokagayaki)

日向ぼっこの季節になりました。