園主の独り言【異常気象の今年の剪定&皐月展を考える】
随分と長い間、花が終われば次の花芽分化時期前の6月いっぱいまでに、盆栽型のさつきは元葉止めと言って新芽の付け根から落としていました。それでも芽が伸びないと言う事はほとんど無く、枝棚を短く揃えることができました。
でも最近では温暖化の影響か、花が終われば真夏並みの日差しの中で梅雨が始まり、雨が降らない日は梅雨であっても真夏と同じ暑さです。
花が終わって疲れたさつきを梅雨の長雨がやさしく樹勢を回復させてくれたのは昔のことのような気がします。
剪定でも、肥料にしても樹勢があってこそ効果もあるというもので、体力が維持できなければ逆効果になってしまいます。
今までやってきたことを変えてしまうのは難しい事ですが、花後の芽摘みによって、枯れてしまったり、樹勢の落ちるさつきが多いようであれば、花後の芽摘みやお礼肥等を控えて、
秋から春先にかけて作業をするようにしてはいかがでしょうか。
花後は疲れたさつきの樹勢回復を一番に考え、
夏を乗り切るためには樹をいじめないようにすることが大切だと思います。
---
今年の
本部展を見に行かれた方の話では、昨年までより
盆栽の部に出展されている作品に花の咲いているのが多かったと聞きました。
「花季展」であれば当然だと思いますが、それでもなお
花の咲いていない作品が展示され、受賞していたので質問されたところ、協会の方の説明では「花が3輪咲いていれば良いと言う規定があるので…」との事でした。
何のためにたったの3輪の花が必要なのか?全く理解できないのですが・・・。私が個人的に思ってきたことが間違っていなければ、
「品種の特徴が確認できるくらいの花が咲いている必要がある」という前提で行われるべき展示会ではないかと。
それは何輪とか言うのではなく、花季展らしくと言う意味だと理解しています。
「松波」等のように遅咲きの品種でも、その品種名と花芸がわかるためには、ある程度の花が必要となり、
3輪咲いたからと言って何がわかるのでしょうか。それでは
「大盃」のような単色花なら3輪でいいのか?と考えても、極論を言えば出展されているすべての作品が3輪しか咲いていなくてもいいという事になるので、それでは花季展の意味を成さず、どう考えてもおかしな話だと思います。
花季展で花を咲かせ切れなかった場合は失敗と考え、秋季展にかけるか、来年を目指すようにして、その年は出展をあきらめるような意識が必要なのではないでしょうか。見に行かれた方も驚いていましたが、内閣総理大臣賞に輝いた大きな
「翆扇」はさつきの素晴らしさを悠然と余すところなくすべての愛好家に感じさせてくれたと思います。

↑翆香(SUIKA)

↑明日香山(ASUKAYAMA)

↑楠玉(KUSUDAMA)

↑翆峰(SUIHOU)

↑紫苑(SHIEN)

↑三姉妹(SANSHIMAI)

↑緋の鳥(HINOTORI)

↑鴇恵比寿(TOKIEBISU)

↑紫光の舞(SHIKOU-NO-MAI)