さつきを仕事として長い間取り扱ってきて、枯らさない事の難しさを思い知らされます。以前、栃木の大先輩の亀山さんから皇室所有の盆栽について、
「形云々以前に、あれだけの年数を枯らさずに鉢で持ち込んでいるだけでも凄い事(技術)だよ。」と言われた事があります。
さつきに関する知識や、針金に頼ろうとしない独自のさつき盆栽作りと、類まれな審美眼により、多くの名品を世に出されている亀山さんの言葉だけに強い説得力があり、お付き合いいただく事によって多くの知識を得る事ができました。
趣味の世界は”無い物ねだり”のところがあり、盆栽用の素材としては、古い品種では「難波錦」、「松波」、「千歳錦」、「月光」「玉織姫」、「秋田錦」等の咲き分け品種(単色ならヤタの鏡や文化等)にあこがれてしまいます。
しかし、これらの品種は古木の場合「大盃」のような強靭な生命力は無く、元々の数が少ない上に、形を維持するためには相当の知識と技術が必要で、若木と同じような手入れで管理をしていると枯れる事が多々あります。
だから素晴らしい木は数が少なく、ますます貴重になってくるのでしょう。
だからと言って、若木では物足らず、
花の美しさだけなら最新花にかなうはずも有りません。古木の魅力は認めつつも、やはり私は新花が好きです。
さつきの花の美しさは、さつきに興味のない人でもわかります。
いつも思うのは、九州でも花の美しさを競う「花季展」が開催されるようになれば、花に対して真剣に向き合う愛好家が増えるはずなのに・・・と。花を上手に咲かせるというのは、標準以上に大きな花を咲かせるのが基本だと思います。
色合いはその木が持っているもので仕方ないにしても、咲かせ方の上手・下手は単純でわかりやすいのではないでしょうか。
近年発表されている最新花の複雑な色彩と美しさは、驚くばかりです。
それでも我々業者の力不足か?時代が悪かったのか?ほとんどの品種が世に出回ることなく消えてしまっているのが現実で、残念でなりません。
これからのさつき界がどんな方向へ進むのかわかりませんが、美しい、しかも留まる事無く進化し続けている「花」という強力な要素を備えているさつきを低迷させてしまっている要因が、我々業者側に有る事は否めません。
さつきの花をより美しく咲かせて、出来るだけ多くの人達に見ていただく事が私達業者の使命で、そのためには美しい品種を取り揃える事も必要で、もっとさつきの
花の美しさをアピールしていかなければならないと思っています。

↑三彩(SANSAI)

↑新峰(SHINPOU)

↑鹿沼牡丹(KANUMA-BOTAN)

↑ふじの輝(FUJI-NO-KAGAYAKI)

↑さらん(SARAN)

↑ほたる(HOTARU)

↑千裕(CHIHIRO)

↑麗子(REIKO)