今年は親しくしている栃木の同業者の紹介で、沢山の種類の最新花を仕入れる事が出来ました。商売の方はともかくとして、初めて見る花が多く、楽しませて貰いました。
中でも
「紫輝彩」のパステルカラーは、今までに見たこともない美しい色で、大輪で肉厚の花は堂々として、不思議な雰囲気を醸し出していました。
↓【紫輝彩】
「夢未来」は小輪で白がちの咲き分けですが、青白い白花のあいだに咲く強烈な黒赤の花には誰もが度肝を抜かれた事でしょう。とにかく凄い色です。
↓【夢未来(白花)】

↓【夢未来(赤花)】
「大寿」は私の期待以上に美しい花で、「月刊さつき」に掲載されていた写真では二通りの花が見られ、多少の不安もあったのですが、咲き始めればそんな不安は吹っ飛びました。
↓【大寿】
「寿光冠」の上品さはそのままに、大輪でもっと色彩に富むので、花物仕立てにすれば、本領を発揮する事が出来るでしょう。
毎年、皐月界においては名前を挙げればきりがないくらい素晴らしい花が輩出されています。
しかしこれらの新花の中で、どれくらいの品種が後世に残っていくのか?考えれば寂しくなってしまいます。
時代の流れと言ってしまえばそれまでですが、我々皐月業者にも大きな責任があるのではないかと思います。
もっと
皐月の花を大切にする思いが有れば、皐月を取り巻く環境も変わっていたのではないでしょうか。
「花季展」では、花の咲いていない「盆養」や「盆栽」の作品が堂々と展示され、しかも「賞」まで与えられているのには残念というより、怒りさえ覚えてしまいます。
主催者が「品種名」と「花」を重要視していないあらわれでしょう。
「花季展」においては、たとえどんなに立派な木であっても、花が咲いてないものには出品の資格を与えないようにするのが当然ではないでしょうか。
樹形を競うだけなら
「秋季展」や
「新春展」が有るのです。
それでも特徴を満たす花が咲くのかは重要でしょう。
かつて皐月展において
「大盃」と
「護美錦」のあいだで、時代を超えた2度にわたる対決が繰り広げられ、盆栽としての樹形は「大盃」の方に分があるものの、「護美錦」の品種としての特殊性が考慮され、
2度とも「護美錦」に軍配が上がった話は有名です。
花が命とも言える皐月の評価は、他の盆栽と違って
特殊です。
品種の特徴や花が分かっていなければ評価ができないのです。
皐月にとって「花」とはそれほど重要なのに、今の皐月界では、ないがしろにされている向きが有るのは残念でなりません。