今年の梅雨は珍しく雨が続き、皐月の芽吹きには良かったのではないでしょうか。近年は花が終われば梅雨を感じる間もなく夏になっていた…と言う具合で、お礼肥を与えずにいたのですが、今年は久々に施肥をしました。
あまりにも雨が多いので消毒するタイミングがつかめず、雨の合間に
スミチオン乳剤のみを二度散布していたのですが、先日ようやく
オルトラン水和剤とベンレート水和剤の混合液を散布して、少しホッとしています。
しかしこれからが大切な時期に入るので気が抜けません。
月刊「さつき研究」の8月号に「本部展」の特集が掲載され、今年の農林水産大臣賞は「雅姫」が受賞していました。栃木の仲間から早い時点で聞いてはいたのですが、「あの小さい花が?」とにわかに信じられず、本で確認した時は少し驚きました。
昨年
「新生」が受賞した時は、登録から早い受賞だとは思ったのですが、「やっぱり!」という感じでした。
「雅姫」もきれいな花だとは思うのですが、長く持ち込んだ事がなく、しっかりとした幹に咲いたのを見た事がなかったので、当園においてはむしろ
「千裕」の方が強烈なインパクトを与えていました。
しかし皐月の花について語るには、花芸の良い木を少なくても
4?5年は持ち込んでからでないと、
本当の花は判らないようです。
良い花を咲かせるための目標として、私は会員さん達に
「その品種として最大限の大きさの花を咲かせるように努力して下さい」と言っています。
花が木全体に咲いて葉が黒々ときれいである事や、満足できる色彩が出ているのは当然、その上で技術的な問題としては、
いかに大きな花を全体に揃えて咲かせるか?だと思っています。
挑戦してみると結構難しくて、素晴らしい花が咲いた時は、誰にでも見てもらいたくなるものです。
私は常に
「花あっての皐月」だと思っています。
素晴らしい皐月の花に魅せられた皐月愛好家が増えていく事を願っています。

↑雅姫

↑千裕

↑錦絵

↑紫苑

↑ふじの輝

↑五月晴

↑紫輝彩
皐月の花つみは、ほとんど終わりました。最新花も多くの種類が太くなり、色彩や花弁の大きさ・厚みが増し、昨年とは比較にならないほどボリュームが出て、美しく咲き誇りました。
常連さん達も
「今年が最高ですね!」と絶賛されていました。
今年初めて見た皐月の花が、来年、再来年と、もっと美しくなっていくのが今から楽しみです。
それには元々の素質の良さが必要なのは勿論の事、
適切な消毒液の散布等、日頃の手入れが欠かせません。
花つみが終わったら、来期に花腐れ等の病原菌を残さないためにも、
鉢土にまでかかるように消毒液をたっぷり散布します。薬品は
オルトラン水和剤と
ベンレート水和剤の1000倍液に、
展着剤のダインを加え散布しています。
梅雨の間は
殺虫剤に殺菌剤を加えていますが、夏に入ったら
殺虫剤の散布が主になります。
私が5年ほど所有している
「新生」は幹回り15cm/樹高80cmですが、昨年あたりから、素晴らしい花が咲いています。
樹形も花物仕立てで、どこを正面にしてもおかしくないような形に仕上がっていて、花が咲いた時の姿は自分で言うのもなんですが、惚れぼれとします。
この木が仕上がっていく様子を、間近で見ていた会員さん達は、「とても参考になった」と言われます。
しかし、
「煌陽」が最高の花を咲かせるのは、
幹回りが20cmになった頃だと聞いています。
一概に太さを基準にはできないかも知れませんが、それくらいの太さになるまで、
色彩のバランスを考えた枝抜きをすれば、もっと良い花が咲くでしょう。最新花は登録する時点での実力は未知数で、もっと美しくなる可能性を秘めています。
盆栽が手を入れながら持ち込むと立派になっていくように、皐月の花も適切な手入れをしながら持ち込めば、期待に応えるように、
立派で美しい花が咲くようになります。花物も素質の良い木を長く持ち込む事が、大切なのではないでしょうか。

↑君子

↑千代の誉

↑薫風

↑新煌

↑白馬

↑天竜恵比寿

↑桃香