前述の「立山の舞」とほぼ同じころ挿し芽した「初冠雪」です。深山霧島と
皐月の交配種で、「深山満月」の枝変わりと言われ、
「深山満月」より底白がぼやけるのが特徴です。
初めて目にした時はこちらの方が、色が淡くてきれいだと思ったものです。
この木もやはり鉢だけで育てているので樹齢の割に太っていません。
最近になってこんな木に魅力を感じるようになりもっと作っておけば良かったと思います。
温室をつかった露地栽培をやれば、ほとんどの品種が短期間で驚くように肥り、今では
晃山系でさえ幹回り50cmを超えるものは珍しくもなく、愛好家は高齢化が進むばかりで、そういう私も植え替えや台風に備えての上げ下ろしに毎年腰を痛め、太さも程度ものだと思うようになりました。
そもそも盆栽とは掌で見るからその呼び名がつけられたのではなかったのでしょうか?
ですから、100年たってもこの太さでしかないが、幹味や根張り、
枝の古さに年代を感じさせるというのが本来盆栽の味わい方ではないかと思っています。
それがいつの間にか
一人で扱えないようなものまで盆栽としてまかり通っていて、庭木とどこが違うのか?と疑問に思う事さえ有ります。
ただし、皐月の
花物長尺樹形は別でしょう。
花の美しさを競うための樹形であって、花物をそのままの姿で秋季展に展示する事はほとんどありません。
咲き分け品種の本来の色彩を楽しむ為には、短い木では満足に表現できず、発表されたばかりの最新花のように細くても珍しい品種に沢山の花をつける為には
長尺樹形は欠かせません。
問題は本来の花の大きさ以上に大きくて美しい花を天までさかせることができるか?だと思います。
それには技術と多くの経験と日々の努力が必要となります。
ベテランに指示を仰ぐことも大切でしょう。写真「初冠雪」樹高28cm幹回り8cm